色覚異常のしくみと、「病気じゃない」ということ
色を感じる“センサー”は、目の奥にある
人の目の奥には「網膜(もうまく)」という部分があり、 光を感じ取る“視細胞”がたくさん並んでいます。
その中でも色を感じる役割を持つのが「錐体細胞(すいたいさいぼう)」です。 錐体細胞には、光の波長ごとに反応する3種類があります。
- 🔴 L錐体:赤っぽい光(長波長)
- 🟢 M錐体:緑っぽい光(中波長)
- 🔵 S錐体:青っぽい光(短波長)
この3つの情報を組み合わせて、脳で色として“解釈”されるのです。
色覚異常とは?
色覚異常(または色覚多様性)は、 この3つの錐体細胞のどれかがうまく働かない、またはない状態を指します。
たとえば:
- 🔴 L錐体が弱い → 赤がくすんで見える
- 🟢 M錐体が働かない → 緑と茶色の区別が難しい
- 🔵 S錐体が少ない → 青系の判断がにぶくなる
これは目の構造による「違い」であり、本人が選んだものではありません。
錐体細胞の反応グラフ:正常な色覚と色覚異常の違い
この図は何を示しているの?
このグラフは、人の目の中にある「錐体細胞(すいたいさいぼう)」が、どんな波長の光に反応するかを表したものです。
- 横軸(X軸):光の波長(380〜780ナノメートル)=可視光の範囲
- 縦軸(Y軸):錐体細胞の反応の強さ(感度)
左側:正常な色覚(3色型色覚)
- 🔴 L錐体(赤):長波長(565nm付近)
- 🟢 M錐体(緑):中波長(535nm付近)
- 🔵 S錐体(青):短波長(445nm付近)
右側:色覚異常(L錐体が弱い例:1型)
この図では、L錐体(赤の光に反応する)がうまく働かないケースを示しています。
- 🔴 L錐体の反応が非常に弱くなっている
- 🟢 M錐体と 🔵 S錐体は正常に働いている
このような場合、赤色がくすんで見えたり、緑との区別がつきにくくなることがあります。 この状態は「1型色覚異常(プロタン異常・プロタノピア)」と呼ばれます。
ポイントまとめ
- 錐体細胞の「数」ではなく、「反応の質」に違いがある
- 色覚異常は、視細胞の機能の違いによって起こる
- 病気ではなく、生まれ持った“視覚の個性”である
※このグラフで使用している色は説明用のものであり、実際の見え方を再現したものではありません。
色覚異常は、病気ではありません
色覚異常は生まれつきの“特性”であり、 一般的に「治療」や「進行」を伴う病気ではありません。
- 🧬 遺伝的な要因が大きい
- 😣 痛み・疲労・失明などの症状はない
- 💊 薬や手術などで“治す”ものではない
けれど、“色で判断する社会”の中では困りごとが多く、 周囲の理解やちょっとした配慮が必要になります。
Color:Reから伝えたいこと
“異常”という言葉がついているけれど、 色覚の多様性は病気ではなく、ただの見え方の違いです。
問題があるとすれば、違いがあることを知らずに作られた環境です。
「みんなが見える色」が正解ではない。 色の感じ方にはバリエーションがあるということが、もっと当たり前に語られる社会を目指して。
“病気ではない”けれど、 わかってほしいことはたくさんあります。
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