色覚異常とは?〜しくみと“病気ではない”理由〜

2025年4月20日日曜日

色の見え方

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色覚異常のしくみと、「病気じゃない」ということ

色を感じる“センサー”は、目の奥にある

人の目の奥には「網膜(もうまく)」という部分があり、 光を感じ取る“視細胞”がたくさん並んでいます。

その中でも色を感じる役割を持つのが「錐体細胞(すいたいさいぼう)」です。 錐体細胞には、光の波長ごとに反応する3種類があります。

  • 🔴 L錐体:赤っぽい光(長波長)
  • 🟢 M錐体:緑っぽい光(中波長)
  • 🔵 S錐体:青っぽい光(短波長)

この3つの情報を組み合わせて、脳で色として“解釈”されるのです。



色覚異常とは?

色覚異常(または色覚多様性)は、 この3つの錐体細胞のどれかがうまく働かない、またはない状態を指します。

たとえば:

  • 🔴 L錐体が弱い → 赤がくすんで見える
  • 🟢 M錐体が働かない → 緑と茶色の区別が難しい
  • 🔵 S錐体が少ない → 青系の判断がにぶくなる

これは目の構造による「違い」であり、本人が選んだものではありません。




錐体細胞の反応グラフ:正常な色覚と色覚異常の違い

この図は何を示しているの?

このグラフは、人の目の中にある「錐体細胞(すいたいさいぼう)」が、どんな波長の光に反応するかを表したものです。

  • 横軸(X軸):光の波長(380〜780ナノメートル)=可視光の範囲
  • 縦軸(Y軸):錐体細胞の反応の強さ(感度)

左側:正常な色覚(3色型色覚)

  • 🔴 L錐体(赤):長波長(565nm付近)
  • 🟢 M錐体(緑):中波長(535nm付近)
  • 🔵 S錐体(青):短波長(445nm付近)
この3種類の錐体細胞がバランスよく働くことで、多くの色を感じることができます。

右側:色覚異常(L錐体が弱い例:1型)

この図では、L錐体(赤の光に反応する)がうまく働かないケースを示しています。

  • 🔴 L錐体の反応が非常に弱くなっている
  • 🟢 M錐体と 🔵 S錐体は正常に働いている

このような場合、赤色がくすんで見えたり、緑との区別がつきにくくなることがあります。 この状態は「1型色覚異常(プロタン異常・プロタノピア)」と呼ばれます。

ポイントまとめ

  • 錐体細胞の「数」ではなく、「反応の質」に違いがある
  • 色覚異常は、視細胞の機能の違いによって起こる
  • 病気ではなく、生まれ持った“視覚の個性”である

※このグラフで使用している色は説明用のものであり、実際の見え方を再現したものではありません。




色覚異常は、病気ではありません

色覚異常は生まれつきの“特性”であり、 一般的に「治療」や「進行」を伴う病気ではありません。

  • 🧬 遺伝的な要因が大きい
  • 😣 痛み・疲労・失明などの症状はない
  • 💊 薬や手術などで“治す”ものではない

けれど、“色で判断する社会”の中では困りごとが多く、 周囲の理解やちょっとした配慮が必要になります。




Color:Reから伝えたいこと

“異常”という言葉がついているけれど、 色覚の多様性は病気ではなく、ただの見え方の違いです。

問題があるとすれば、違いがあることを知らずに作られた環境です。

「みんなが見える色」が正解ではない。 色の感じ方にはバリエーションがあるということが、もっと当たり前に語られる社会を目指して。

“病気ではない”けれど、 わかってほしいことはたくさんあります。


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プロフィール

色覚異常の社会人。 普通の生活ができないわけではないけど、色覚が普通にハンデになることも多い。 何か同じように気になる人がいれば共感して一緒に考えたいと思っている。

どうして自分だけが? 色覚異常と“遺伝”という目に見えないつながり 「なんで私だけが、色がわからないんだろう?」 子どものころからずっと不思議だった。 家族に色覚異常の人はいないし、誰にもそんな話を聞いたことがなかった。 でも、...

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